「求人を出しても応募が来ない」。多くの会社が同じ壁にぶつかっています。でも7月例会で聞いた話は、お金をかけなくても、明日から変えられることがたくさんありました。清水建設様からの熱いご挨拶に始まり、高校生の就職支援を現場でやっているお二人の講師から、「なぜ選ばれる会社と選ばれない会社が分かれるのか」を、実際のデータと参加型の問いかけを交えながらたっぷり教えてもらいました。当日の内容を、できるだけ厚めに記録しています。
開会挨拶(鍛治部長)
まずは今年5月に北陸の青年部が幹事を務めた「全国連合兼喜会 金沢大会」への御礼から。特に大会を率いた中橋リーダーについて「声がかすれるまで本当に頑張っていただいて、我々のチームを率いていただいたおかげで、本当にいい全国総会ができた」と、労いの言葉がありました。
今年度の青年部テーマは「温故創新」。大切なものを大切にしながら新しい時代を自分たちの手で作っていく、という方針のもと、4月例会では「僕がちょっと苦手としている財務知識の部分や、帝国データバンクの見方」を扱い、今回7月は「人手不足に対する我々のアプローチ方法が適切かどうか」をテーマに据えたと説明。企画を担当した在田副部長・西能幹事への感謝の言葉もありました。9月・11月にも事業を予定しているとのことで、参加を呼びかけられました。
清水建設様からのご挨拶
東 孝宗 様(建築第一部長)
清水建設も採用活動を行っており、「業界を挙げて人手不足はなかなか解消しない」という同じ課題を共有しているとした上で、兼喜会の成り立ちについて語られました。「大元をたどれば、私ども清水建設が仕事をするうえで、サプライチェーン、協力業者さんをしっかりと仲間を作りながら確保していきたいというのが、我々清水建設で言う兼喜会です」。
現場で積み重なる小さなやり取り――職長さんが会社に持ち帰る現場の話――が、やがて「清水建設を選んでくれるかどうか」にも影響してくると指摘。品質・安全については「なあなあ」にせず、緊張感を持ってお互い切磋琢磨する関係でありたいと述べられ、最後に「来年度からは非常に仕事が多くなってくる」「今期は来年度に向けて一旦ジャンプするためにしゃがみ込む時期」として、来年度上期からの大型現場への協力を呼びかけられました。
江口 将司 様(調達部長)
「先ほどお話がありました通り」と東部長の内容と重なったことをユーモアを交えて振り返りつつ、調達部として選ぶ立場からは「品質と安全、プラスアルファとしてQCDSEをしっかりやっているところ」が兼喜会には大前提として求められると説明。同時に「悲しいことに、残念ながらその辺りがどうしてもお互いなぁなぁになってしまって、それが色々なところで綻びが出てきている」現状にも触れ、温故創新のもと「兼喜会会員というのはどういうことなのか」を常に意識してほしいと呼びかけられました。
- Q|Quality(品質):図面・仕様どおりに、決められた精度で仕上げる
- C|Cost(原価):ムダを出さず、決められた予算の中でおさめる
- D|Delivery(工程):約束した工期を守る。遅れそうなら早く手を挙げる
- S|Safety(安全):ケガをさせない・させられない。全員が無事に帰る
- E|Environment(環境):騒音・振動・廃棄物・近隣への配慮を含めた現場周辺への責任
この5つのうち、品質(Q)と安全(S)は「できていて当たり前」の土台。そのうえで原価・工程・環境まで含めて安定して回せているかが、協力会社として選ばれるかどうかの分かれ目になる――というのが江口部長のお話の要点でした。
佐藤 勲 様(調達部・新任のご挨拶)
7月1日付で北陸支店調達部に着任。出身は東京で、入社後は東北支店に6年、東京支店・関東支店で約10年勤務し、このたび北陸支店へ。着任日の7月1日がちょうど北陸支店設立80周年と重なったことに「非常に意義のある年に着任させていただいた」と感慨を語られました。富山出張の折には清水記念公園(清水建設の創業者・清水喜助の生誕の地に建つ記念碑)を初訪問し、支店の歴史の重みを実感したとのこと。
直近の関東支店でも青年部活動(軽井沢の総会や研修会)に携わっており、「北陸支店は匠技塾の活用などが全国でもおそらく最も活発に行われている支店」と聞いていたそうで、「私も色々と教えていただきながら、一緒に活動できれば」と結ばれました。
清水匠技塾「新規入職者研修」活動報告
5月18日〜1週間(6社18名、富源商事・石井さんがリーダー)と、6月1日〜1週間(6社16名、小松ウォールIT・石田さんがリーダー)の2回にわたる新規入職者研修の報告がありました。
- 1日目:社会人教育。アイスブレイク、名刺交換の練習、伝言ゲーム、価値観研修で緊張をほぐす
- 2日目:現場と安全の心構え。安全靴の体験・ぶら下がり体験で危険予知を学ぶ(清水建設様から毎年1人1足、高価な安全靴のプレゼントつき)
- 3日目:キャリアアップシステム・職長制度・新工法新技術の紹介、現場見学
- 4日目:ミルックス機材センターでの実習、安全作業の学習
- 5日目:青年部役員も合流し、KYトレーニング・災害事例学習、先輩とのグループディスカッション、懇親会
調達部からのお知らせ(島野様)
中村様の後任として、これからは佐藤様と島野様の体制で青年部を担当していくとの紹介がありました。今回のお知らせは2点です。
- 清水匠技塾の公式サイトを新設。建設業界とはどんな仕事か、匠技塾のカリキュラムなどを紹介するコンテンツに加え、サイト上部には「募集中の求人」ページを設置。北陸兼喜会の会員企業も無料で求人を掲載可能(希望する場合は島野様まで相談を)。
- 青年部の例会資料をBoxに格納し、いつでも見られるように整備開始。「北陸金物会」フォルダの中に「青年部」フォルダを作成済みで、4月の金沢例会・6月の新潟例会の資料をすでに格納。今後の例会資料も同様に保存予定。Boxへの登録・アクセス方法が分からない場合も島野様が対応。
核心:「青田作り」ってなに?
ここからが今日のメインテーマ。講師のお二人(山辺様・大橋様)はともに、富山県高岡市の高岡向陵高校で「学校魅力化コーディネーター」を務める教育NPO「テーナライト」のメンバーです。もともとは不登校支援や社会的養護が必要な子どもの支援からスタートした団体ですが、その延長線で県内企業3社と高校をつなぐ「キャリア教育共創プラットフォーム」を今年4月に立ち上げ、学校の正規授業(年間40コマ)を、先生・コーディネーター・企業の人事担当・若手社員の4者で共創しているそうです。
講師は、生徒(社会や仕事を知る機会が少ない)・学校(先生も企業の専門家ではなく、タイトな日程で内定を最優先せざるを得ない)・企業(大手以外はそもそも学校との接点がない)という三者が互いの課題を強め合う「負のループ」に陥っていると指摘。人手不足に対して企業がやりがちなのは「良い人材を早めに囲い込む(青田買い)」か「とにかく頭数をそろえる(青田刈り)」のどちらかですが、講師のお二人は「青田作り」という第三の道を提案しました。
今日から使える3つのコツ
- 1 ふわっとした言葉をやめる 「アットホームな職場です」は情報ゼロと同じ。それより「20歳・〇〇高校出身、入社2年目の先輩がいます」のように、実在する年の近い先輩を、数字と一緒に紹介した方が伝わります。
- 2 「誰が・どう教えるか」を書く 高校生が一番知りたいのは仕事の中身より「自分にできるか」。1ヶ月後・3ヶ月後・1年後にどう育っていくか、教える人と手順が見える形にすると安心してもらえます。
- 3 会社が負担することをはっきり書く フォークリフトなど資格取得の費用は会社が全額出す、講習は勤務時間内でできる——こうした会社側の投資を具体的に書くと、送り出す先生・保護者の安心材料になります。
おまけの4つ目:伝えたいことは欲張らず3つに絞る。高校生が一度に覚えられる情報は、せいぜい3つ程度だそうです。
会場はこんな雰囲気でした
質疑応答
オンライン参加のタッセイ・田中社長から、「高岡向陵高校でやっているような企業と学生をつなぐ取り組みは、他の学校や石川県・福井県でもやっているのか」という質問が寄せられました。
持ち帰りアクション
- 受講した会社自社の求人票の「仕事内容」欄を見直し、専門用語をやめて「誰がどう教えるか」「1日のスケジュール」が分かる書き方に直す
- 受講した会社会社紹介やパンフレットの先輩社員紹介に、出身校・年齢など具体的なプロフィールを1つ足す
- 興味のある会社清水匠技塾の求人ページに無料で掲載してもらえるので、清水建設 調達部の島野様・佐藤様に相談してみる
そのための具体的なやり方を、実例とデータと、ちょっとした笑いも交えながら教えてもらえる——
それが北陸兼喜会青年部の例会です。
次はあなたの会社の番かもしれません。