7月例会レポート

「選ばれる会社」になるヒントが、
たくさんあった話

2026年7月17日(金)16:00〜17:45 / 富山電気ビル 2階「202会議室」

テーマ選ばれる会社、選ばれない会社 ― 高校現場のリアルから考える企業ブランディング
講師一般社団法人 Teena Light 山辺 雄翔 様(代表理事)/ 大橋 こころ 様(学校魅力化コーディネーター)
司会西能 立 様
ご挨拶鍛治 渉(青年部長)/ 東 孝宗 様・江口 将司 様(清水建設)/ 佐藤 勲 様(清水建設・調達部 新任)

「求人を出しても応募が来ない」。多くの会社が同じ壁にぶつかっています。でも7月例会で聞いた話は、お金をかけなくても、明日から変えられることがたくさんありました。清水建設様からの熱いご挨拶に始まり、高校生の就職支援を現場でやっているお二人の講師から、「なぜ選ばれる会社と選ばれない会社が分かれるのか」を、実際のデータと参加型の問いかけを交えながらたっぷり教えてもらいました。当日の内容を、できるだけ厚めに記録しています。

開会挨拶(鍛治部長)

まずは今年5月に北陸の青年部が幹事を務めた「全国連合兼喜会 金沢大会」への御礼から。特に大会を率いた中橋リーダーについて「声がかすれるまで本当に頑張っていただいて、我々のチームを率いていただいたおかげで、本当にいい全国総会ができた」と、労いの言葉がありました。

鍛治部長 「今回のテーマは『選ばれる企業、そうでない企業』という、ちょっと辛辣なタイトルなのですが、今、我々が迎えている建設業の人手不足の逼迫さに関しては、全員が同じような課題を抱えられているのではないかと思います。……自分自身としても、かつての経験というか自分に戒めていることがありまして、どこかで人手不足に対して『うちの会社は無理だ』と諦めてしまっていることなどがあるのではないかとも思うのです。でも、諦めていたら結局は人が流れてこないですし、人が入ってこないと我々の事業も永続的には続けられない」

今年度の青年部テーマは「温故創新」。大切なものを大切にしながら新しい時代を自分たちの手で作っていく、という方針のもと、4月例会では「僕がちょっと苦手としている財務知識の部分や、帝国データバンクの見方」を扱い、今回7月は「人手不足に対する我々のアプローチ方法が適切かどうか」をテーマに据えたと説明。企画を担当した在田副部長・西能幹事への感謝の言葉もありました。9月・11月にも事業を予定しているとのことで、参加を呼びかけられました。

今回は各社の採用・組織担当の方にも声をかけて参加してもらったとのこと。「我々青年部が実はちゃんと真面目に活動しているのだということを分かっていただきながら、自社にも持って帰れるような事業内容にしている」――単なる懇親ではなく、実務に持ち帰れる学びの場であることを強調して開会となりました。

清水建設様からのご挨拶

東 孝宗 様(建築第一部長)

清水建設も採用活動を行っており、「業界を挙げて人手不足はなかなか解消しない」という同じ課題を共有しているとした上で、兼喜会の成り立ちについて語られました。「大元をたどれば、私ども清水建設が仕事をするうえで、サプライチェーン、協力業者さんをしっかりと仲間を作りながら確保していきたいというのが、我々清水建設で言う兼喜会です」。

現場で積み重なる小さなやり取り――職長さんが会社に持ち帰る現場の話――が、やがて「清水建設を選んでくれるかどうか」にも影響してくると指摘。品質・安全については「なあなあ」にせず、緊張感を持ってお互い切磋琢磨する関係でありたいと述べられ、最後に「来年度からは非常に仕事が多くなってくる」「今期は来年度に向けて一旦ジャンプするためにしゃがみ込む時期」として、来年度上期からの大型現場への協力を呼びかけられました。

江口 将司 様(調達部長)

「先ほどお話がありました通り」と東部長の内容と重なったことをユーモアを交えて振り返りつつ、調達部として選ぶ立場からは「品質と安全、プラスアルファとしてQCDSEをしっかりやっているところ」が兼喜会には大前提として求められると説明。同時に「悲しいことに、残念ながらその辺りがどうしてもお互いなぁなぁになってしまって、それが色々なところで綻びが出てきている」現状にも触れ、温故創新のもと「兼喜会会員というのはどういうことなのか」を常に意識してほしいと呼びかけられました。

QCDSEとは(建設業の管理5要素)

この5つのうち、品質(Q)と安全(S)は「できていて当たり前」の土台。そのうえで原価・工程・環境まで含めて安定して回せているかが、協力会社として選ばれるかどうかの分かれ目になる――というのが江口部長のお話の要点でした。

このあと紹介する新任の佐藤様について、江口部長からこんなエピソードが紹介されました。せっかく富山まで行くのだからと、昼間のうちに清水記念公園の記念碑を訪ね、我々の原点に思いを馳せてほしいと話をされ、在田様に車に乗せていただいて見に行ってきたとのこと。富山の地(創業者・清水喜助の生誕の地)から東京に出て事業を拡大してきた清水建設の原点を、着任した新任者にまず見つめ直してもらう――兼喜会という名前を背負う重みを大切にしている様子が伝わるひとコマでした。

佐藤 勲 様(調達部・新任のご挨拶)

7月1日付で北陸支店調達部に着任。出身は東京で、入社後は東北支店に6年、東京支店・関東支店で約10年勤務し、このたび北陸支店へ。着任日の7月1日がちょうど北陸支店設立80周年と重なったことに「非常に意義のある年に着任させていただいた」と感慨を語られました。富山出張の折には清水記念公園(清水建設の創業者・清水喜助の生誕の地に建つ記念碑)を初訪問し、支店の歴史の重みを実感したとのこと。

直近の関東支店でも青年部活動(軽井沢の総会や研修会)に携わっており、「北陸支店は匠技塾の活用などが全国でもおそらく最も活発に行われている支店」と聞いていたそうで、「私も色々と教えていただきながら、一緒に活動できれば」と結ばれました。

清水匠技塾「新規入職者研修」活動報告

5月18日〜1週間(6社18名、富源商事・石井さんがリーダー)と、6月1日〜1週間(6社16名、小松ウォールIT・石田さんがリーダー)の2回にわたる新規入職者研修の報告がありました。

5日間の研修プログラム
参加者の感想では「現場見学が良かった」「アイスブレイクも楽しかった」との声が多数。そして何より、清水建設様が新幹線代・宿泊費を全額負担したうえ、日当まで支給(今年から1日24,000円に増額、1,000円台のみ自己負担で実質23,000円)という、研修中なのにもらえる手厚さが紹介されました。1年後・2年後には同期メンバーで金沢に再集合するフォローアップ研修もあり(今年は11月末実施予定)、学びと横のつながりの両方が続く仕組みになっています。

調達部からのお知らせ(島野様)

中村様の後任として、これからは佐藤様と島野様の体制で青年部を担当していくとの紹介がありました。今回のお知らせは2点です。

核心:「青田作り」ってなに?

ここからが今日のメインテーマ。講師のお二人(山辺様・大橋様)はともに、富山県高岡市の高岡向陵高校で「学校魅力化コーディネーター」を務める教育NPO「テーナライト」のメンバーです。もともとは不登校支援や社会的養護が必要な子どもの支援からスタートした団体ですが、その延長線で県内企業3社と高校をつなぐ「キャリア教育共創プラットフォーム」を今年4月に立ち上げ、学校の正規授業(年間40コマ)を、先生・コーディネーター・企業の人事担当・若手社員の4者で共創しているそうです。

高校生の就職活動を取り巻く現状として、こんな数字が紹介されました。
高卒者の早期離職 9人に1人が半年以内に退職 20代後半でも 約3割がポテンシャルを活かせないキャリアに 富山県の高卒求人倍率 約4倍の激戦 富山県の高卒者の県内就職率 全国2位(99.95%)

講師は、生徒(社会や仕事を知る機会が少ない)・学校(先生も企業の専門家ではなく、タイトな日程で内定を最優先せざるを得ない)・企業(大手以外はそもそも学校との接点がない)という三者が互いの課題を強め合う「負のループ」に陥っていると指摘。人手不足に対して企業がやりがちなのは「良い人材を早めに囲い込む(青田買い)」か「とにかく頭数をそろえる(青田刈り)」のどちらかですが、講師のお二人は「青田作り」という第三の道を提案しました。

条件(給料・休日・通勤時間)で勝負するのではなく、高校生と時間をかけて関係を育て、「この人たちと働いてみたい」と思ってもらうこと。難しい話に聞こえますが、要は「先に仲良くなって、それから仕事を知ってもらう」という、ごく普通の順番に戻そう、という話でした。富山の段ボール製造会社サクラパックス様が県内高校生を東京のスタートアップへ1週間派遣する「富山インターンシップジャーニー」も、採用のためというより「今の若い世代が何を考えているかを知る一次的なチャネルを持つ」取り組みとして紹介されました。

今日から使える3つのコツ

おまけの4つ目:伝えたいことは欲張らず3つに絞る。高校生が一度に覚えられる情報は、せいぜい3つ程度だそうです。

会場はこんな雰囲気でした

講演は一方的に話を聞くスタイルではなく、参加者が手を動かしながら一緒に考えていく双方向の進め方でした。「高校生が入社した会社を0点評価する一番の原因は?」(正解:情報不足=47.9%)「他社を1社も見ずに就職を決める高校生の割合は?」(正解:55.4%=2人に1人)――こうした問いかけに、隣の人と相談しながらパー・グー・チョキで一斉に意思表示。正解が発表されるたびに会場から「へえ!」という声があがり、自分の会社に引き寄せて考えられる90分でした。
後半は事前に提出した実際の求人票・採用パンフレット(中橋タイル様・小松ウォールアイティ様・タッセイ様)を、講師のお二人がその場で一社ずつ講評。「ここが高校生に刺さります」「ここをこう直すともっと良くなります」と、具体的なアドバイスをもらえる時間もありました。

質疑応答

オンライン参加のタッセイ・田中社長から、「高岡向陵高校でやっているような企業と学生をつなぐ取り組みは、他の学校や石川県・福井県でもやっているのか」という質問が寄せられました。

講師からの回答(要旨) 2026年度は高岡向陵高校のみで実施中。来年度以降、学校・企業ともに増やしていきたい。全国的には大阪・関西圏で学校内に企業が入り込む取り組みが進んでおり、県内でもリクルート様・マイナビ様がバスツアー形式などを自治体委託で実施している。今回のプラットフォームの特徴は、会社説明会ではなく「学校の正規授業の中」で行っている点。企業側から直接「高校生に会わせてほしい」と学校に持ちかけても難しいことが多いが、地域の中小企業で「これからの高卒採用を考える会」のような集まりを作り、ハードルを下げた形で学校とつながっていくというやり方は、企業側からでも今すぐ始められる。

持ち帰りアクション

条件で戦うのはもうやめて、「人」で選ばれる会社になる。
そのための具体的なやり方を、実例とデータと、ちょっとした笑いも交えながら教えてもらえる——
それが北陸兼喜会青年部の例会です。

次はあなたの会社の番かもしれません。